秋に多い咳の原因について~なぜ喘息は秋に多いのか~
当ブログでは病気に関する情報発信を行っています。今回は寒くなって増えてきた喘息についてお話します。寒くなってくると喘息を発症する方、もともと喘息をもっている方も症状が悪化する傾向があります。喘息と似たような咳喘息も増えます。喘息の詳しい話については過去のブログもご参考になさってください。
喘息の原因
喘息発症、悪化の原因は大きく分けてふたつあり、個体因子(体質)、環境因子に分けられます。
①個体因子
・遺伝的素因
両親や兄弟に喘息がある場合、発症リスクは3~5倍程度高くなるとされています。
・アトピー素因
環境中のアレルゲンに対して、IgE抗体をつくりやすい体質のことです。血液中のIgE抗体値が高いと、喘息の有病率が増加するとされています。
・気道過敏性
気温や乾燥、会話など、気道が刺激に過敏になることは喘息発症リスクと言われています。
・性差
小児では女児よりも男児に、成人では女性の有病率が高くなります。
・肥満
BMI(体重㎏÷身長mの2乗)が高いほど発症リスクが高くなります。
②環境要因
喫煙、アレルゲン(ダニ・花粉など)、呼吸器感染症(風邪など)、大気汚染(PM2.5など)、食物(香辛料等、他アレルギーを引き起こすもの)などがあります。
なぜ秋は喘息が悪くなりやすいのか
前述した個体要因と環境要因の二つが関係しています。
・気温の変化
喘息患者さんは、気道過敏性があります。炎症のため気道が敏感になっており、ちょっとした刺激でも発作を起こりやすくなることをいいます。喘息のない人では気温差では何も感じない一方で、喘息患者さんでは寒暖差が刺激となり喘息発作を引き起こすことがあります。また、空気の乾燥も気道を刺激し発作を誘発します。
・秋の花粉
春のスギやヒノキなどの樹木の花粉の場合は、花粉粒子径が大きいため、鼻粘膜に留まりやすく、鼻水やくしゃみが代表的な症状です。
一方、秋のブタクサなど草の花粉は花粉の粒子が小さいため、気管まで到達し咳や喘息発作を引き起こしやすいとされています。
・ダニ
秋はダニアレルギーが増えます。
ダニは暑くて湿度の高い夏に増殖します。秋になると増えたダニの糞や死骸が蓄積し、乾燥して舞うことでアレルギーを引き起こしやすくなります。
まとめ
今回は秋に増える喘息についてお話しました。寒暖差や花粉・ダニで喘息を発症する方が多い季節です。今年の秋も咳でお困りの患者様が多くいらっしゃり、喘息を発症した方、咳喘息の方、アトピー咳嗽の方などおられます。当院では症状を細かく伺い、一人一人にあった検査・治療を提案します。咳でお困りの方はお気軽にご相談ください。