アレルギー検査について~IgE抗体について~

当ブログでは病気に関する情報発信を行っています。今回は当院で行っているアレルギー検査、IgE抗体検査についてお話します。

IgE抗体とは

人体には自分の身を守るための免疫機能があります。自分ではない外的異物(ウイルス、細菌など)が体に入ってくると、異物を排除するために攻撃をします。このとき攻撃として使われるものの一つが抗体です。リンパ球の中のB細胞から、異物に効くであろう抗体が産生されます。抗体はいわば矢のようなものです。

この抗体はIgG、IgM、IgA、IgD、IgEという5種類に分類されますが、アレルギーに関連する抗体はIgEという抗体です。

花粉などアレルギーを引き起こす物質が体の中に入ると、異物を排除しようと免疫機能が作動します。花粉を外に出そうと涙や鼻水を作ります。この排除しようとする反応が強いと鼻閉・鼻汁・眼のかゆみで困る花粉症の症状となります。

非特異的IgE抗体検査

IgEの総量をみる検査です。喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などで高値となります。高値であれば、アレルギー素因がある可能性が高いです。

特異的IgE検査

推定されるアレルゲン(原因物質)を指定して検査を行う方法です。

・喘息やアレルギー性鼻炎などで調べておくべき項目は「吸入アレルゲン」です。王寺町には大和川が流れていますが、川沿いは山からスギやヒノキの花粉が流れてくることが多く、また河川敷にはたくさんの雑草があり、秋の花粉症の原因となることも多くあります。花粉以外にもダニやハウスダスト、またペット(犬・猫)の毛に対するアレルギー検査も行います。

・View39

これは上記の花粉やダニなどに加え、卵白やミルク、小麦、大豆、ソバ、ピーナッツ、エビ、カニなどの食品も含めたアレルギー検査です。食品で蕁麻疹が出たとき、特定のものを食べると口の中がかゆい、アナフィラキシーなどの原因物質を特定するために検査を行います。

【吸入系・その他】

ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト、ネコ皮膚、イヌ皮膚、ガ、ゴキブリ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ、アルテルナリ ア、アスペルギルス、カンジダ、マラセチア、ラテックス

【食物系】

卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、ソバ、米、エビ、カニ、大豆、ピーナッツ、鶏肉、牛肉、豚肉、マグロ、サケ、サバ、キウイ、リンゴ、バナナ、ゴマ

上記以外の食品でも、アレルギー体質のお子様の食事対応などを目的として単項目の検査を行うこともあります。

対応している単項目検査は以下の通りです。

おまけ〜IgG抗体検査について

最近、アレルギー検査の中でIgG抗体を測定している場面を時折見かけます。

少なくとも現時点(2022年秋)で、IgG抗体は医学的には何の意味もありません。ご注意ください。

まとめ

今回はアレルギー検査で行うIgE抗体検査についてお話しました。アレルギーのときに産生されるIgE抗体の量、何に対してIgE抗体が産生されるかを血液検査で調べることができます。

原因が分かれば、生活習慣の是正や対処でアレルギー症状が軽減することがあります。

花粉症や他のアレルギーで困っておられる方はお気軽にご相談ください。