インフルエンザワクチンについて~今年の流行予測・ワクチンの効果~
当ブログでは病気に関する情報発信を行っています。今回はインフルエンザワクチンについてお話します。
今年(2022年度)のインフルエンザの流行について
COVID-19が流行してから、インフルエンザの流行が無く経過しています。COVID-19対策として普及した手指衛生やマスク着用、人の移動の制限等の感染対策がインフルエンザの感染予防についても効果的であったためと考えられます。
日本のある北半球の流行予測は、同年の南半球の流行が参考になると言われていますが、南半球のオーストラリアでは2022年4月以降にインフルエンザの流行があり、今年の冬は日本でも流行する可能性があります。また、今後海外からの日本への入国が緩和されますので、国内へウイルスが持ち込まれ流行する可能性が高いのでは、と考えられています。
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザワクチンはその年に南半球で流行しているインフルエンザウイルスを用いてワクチンが開発されます。インフルエンザA型株やB型株のウイルスを鶏卵で培養し、
不活化処理ののちウイルスの膜蛋白で感染免疫防御となるHA蛋白を含んだ液を採取し、精製したものがHAワクチンになります。
インフルエンザワクチンの効果について
インフルエンザワクチンの効果は、主にインフルエンザの合併症(肺炎・脳症)の減少、重症化および死亡率の抑制です。インフルエンザの発症を完全に予防できるわけではありませんが、発症予防効果はあり、症状の軽症化や、合併症の抑制効果が認められています。
肺炎や脳炎などの合併症を起こすリスクの高い人は、高齢者、妊婦、心臓や肺の基礎疾患のある方、透析中の方、抗癌剤治療中の方、喘息や熱性けいれんの既往のある小児などです。
多くの方はいつもよりしんどい風邪症状で治っていく一方で、高齢者施設での流行で何人もの高齢者が亡くなったり、脳症で後遺症が残った子供も多くいます。
上記のようなリスクをお持ちの方に加えて、これらの方と一緒に生活されておられる方、受験を控えている方、職場で人との接触の多い方も接種を検討いただければと思います。
効果の持続期間について
接種後2週間頃から免疫が完成すると言われています。予防効果は接種から5か月ほどです。例年12月から3月に流行が多く見られますので、10月から、遅くとも12月はじめまでの接種をご検討ください。
副反応について
注射部位の局所反応(発赤・疼痛・かゆみ・硬結)などはよく見られますが数日で良くなってきます。免疫反応の強い人は発熱や頭痛、倦怠感などの副反応が出ることもあります。
重篤な副反応はアナフィラキシーショックというアレルギー反応です。過去にワクチンでアナフィラキシーになったことがある方は要注意です。
まとめ
今回はインフルエンザワクチンについてお話しました。ワクチン接種によって肺炎や脳症などの合併症が予防できます。10月から当院でもワクチン接種を開始いたします。ネット予約も可能です。迷われている患者様もお気軽にご相談ください。