アレルギー性鼻炎① ~症状・診断~

当ブログでは、病気についての情報発信を行っています。今回はアレルギー性鼻炎の症状や診断についてお話しいたします。

アレルギー性鼻炎とは

アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)を吸い込み、鼻の粘膜にくっつき、アレルギー反応によって鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状が引き起こされる病気です。

これらの症状によって、ティッシュが手放せない、勉強や仕事に集中できなかったり、熟睡できずイライラする、など生活に支障が出る人もいます。そのため、アレルギー性鼻炎はしっかりと治療して症状を抑えることが大切です。

アレルギー性鼻炎の種類

二つのタイプに分けられますが、両者を合併している患者さんも多くいらっしゃいます。

去年まで症状がなかったのに、突然発症することもあります。

  • 通年性アレルギー性鼻炎:一年を通して症状が出るタイプ、ダニやハウスダスト、ペットの毛によることが多いです。
  • 季節性アレルギー性鼻炎:いわゆる花粉症です。スギ、ヒノキの花粉症の方が多く、春に症状が悪化することが多いですが、夏にはイネ、秋にはブタクサ、冬はスギが飛び始めるため、1年中何かの花粉が飛んでいます。

アレルギー性鼻炎の鑑別疾患

鼻水、くしゃみ、鼻づまりがアレルギー性鼻炎の3大症状ですが、アレルギー性鼻炎と同じ症状が出る疾患はいくつかあります。代表的なものを説明します。

  • 急性鼻炎

いわゆる風邪で、鼻水・くしゃみ・鼻閉がでます。ウイルス感染によることが多く、この場合は抗ヒスタミン剤などの抗アレルギー剤が無効です。1~2週間で良くなりますが、人によっては長引くこともあります。

  • 血管運動性鼻炎(寒暖差アレルギー)

温度差で鼻がムズムズし、くしゃみやサラサラとした鼻水を伴います。温度差が7度以上になると出やすいと言われ、季節の変わり目に生じやすいです。特定のアレルゲンが原因ではないですが、症状がつらい場合は、抗アレルギー剤やステロイドの点鼻薬などを用いることもあります。

  • 薬剤性鼻炎

当院でアレルギー性鼻炎に処方する点鼻薬はステロイド点鼻薬ですが、市販の点鼻薬には血管収縮剤が入っているものもあります。即効性があるので鼻水がぴたっと止まりますが、長期使用することで鼻粘膜の血流が悪化し、粘膜が分厚くなり鼻づまりが強くなることがあります。他にも経口避妊薬や降圧剤などでも鼻炎を生じることがあります。治療は原因薬剤の中止が原則ですが、困難な場合はステロイド点鼻薬などを用いて治療を行います。

アレルギー性鼻炎の診断

  • 問診

いつどんなときに起こるか、症状がどの程度あるかを確認します。アレルギー性鼻炎は遺伝することも多く、ご家族にアレルギー性鼻炎の人がいるかを確認します。喘息などのアレルギー疾患がないかも確認します。(喘息患者さんの70%はアレルギー性鼻炎を合併すると言われています。)

  • 身体診察

鼻腔の状況を確認します。鼻炎があるときは鼻粘膜が浮腫んだり、蒼白になります。

  • アレルゲンを特定する

患者さんによって、アレルギーを起こすアレルゲンが何かを調べます。

当院では血液検査で特異的IgE抗体を測定します。侵襲度が低く、多種類のアレルゲンを検査可能です。

他にアレルゲンを特定する検査に皮膚反応検査もありますが、これは皮膚に少量の抗原を注射することでアレルギー反応があるかを見ます。1種類ずつ注射をしますので、多種類のアレルギー検査ができないことやかゆみなどの症状が出ることがデメリットです。

まとめ

今回はアレルギー性鼻炎の症状や、紛らわしい疾患、診断の流れをお話しました。

当院では詳しく症状を伺い、一人一人にあった検査や治療を提案します。

鼻水、鼻づまりなどの症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

次回は減感作療法(舌下免疫治療)も含めた治療法についてお話ししたいと思います。