アレルギー性鼻炎の治療について~抗アレルギー治療、減感作療法~

当ブログでは、病気についての情報発信を行っています。今回はアレルギー性鼻炎の治療についてお話しします。疾患の症状や診断の方法については前回のブログをご参照ください。

アレルギー性鼻炎の治療

アレルギー性鼻炎の治療は、アレルギーを引き起こす原因(アレルゲン)を避けることと、薬剤での治療があります。薬剤については症状を抑える薬物治療と、アレルギーの根本から改善する減感作療法があります

・生活習慣の見直し

ハウスダスト、ダニが原因の場合は、掃除や寝具を清潔に保つことが予防になります。

特に寝具はダニが潜みやすい場所のため、枕カバーやシーツを定期的に洗濯することが予防になります。また、寝具まわりのぬいぐるみやクッションはダニの温床になるため、置かないことを推奨します。カーペットや布張りのソファもなるべく置かない方が予防になります。

ペットが原因であれば、ブラッシングは他の家族にしてもらったり、換毛期(毛が生え変わる時期)はこまめに掃除を行うこと、ペットと一緒に寝ない(寝具とは接さないようにする)ことが予防となります。

・薬物治療

アレルギー症状を抑える治療薬は、飲み薬や鼻に直接投与する噴霧薬があります。

飲み薬のうち、抗ヒスタミン薬(アレグラ®など)は主にくしゃみや鼻水に効果があります。眠気が出にくいと言われている薬剤を選択しますが、人によっては眠気が出たり、倦怠感を感じる人もいます。症状に合わせた薬剤選択が重要です。

また、ロイコトリエン受容体拮抗薬(キプレス®、オノン®)は鼻づまりに効果があります

ステロイド点鼻薬は、直接鼻粘膜に噴霧し鼻粘膜のアレルギーを抑えます。割と即効性があります。

症状や重症度に応じてこれらの薬を組み合わせて治療を行います。

また、花粉が飛散し始める前から抗アレルギー剤を予防的に内服することで、症状のピークが軽減します。症状のつらい方は花粉飛散予測日より前に一度ご相談ください。

・減感作療法

アレルギー性鼻炎を根本的に治すことが期待できる唯一の治療です。

アレルギーの原因となる抗原を少しずつ体内に入れ、アレルギー反応を弱めていくことにより症状を抑えていくことができます。アレルゲン免疫療法には、薬を舌の下で溶かす舌下免疫療法と、注射で行う皮下免疫療法があります。

当院では、安全性の高い舌下免疫療法を行っています

治療期間は3年から5年以上かかりますが、体質改善により、抗ヒスタミン剤を内服しても良くならない、つらい鼻炎の症状がかなり楽になります。

~当院での減感作療法(舌下免疫治療)について~

減感作療法を希望され、来院いただく患者さんが増えてきました。

減感作療法の適応となる条件と、実際の治療について詳しくお話します。

・減感作療法の対象疾患

スギ花粉症、ダニによるアレルギー性鼻炎の2疾患に対し、シダキュア®、ミティキュア®が保険適応となっています。

スギ舌下錠シダキュア®・ダニ舌下錠ミティキュア®ともに5歳以上の方が対象となります。

アレルギー症状を伺い、血液検査でスギ・ダニへアレルギーがあるかを確認し、治療を開始します。

・治療期間

スギ舌下錠シダキュア®・ダニ舌下錠ミティキュア®ともに3年以上の治療が推奨されています。ダニ舌下錠ミティキュア®はいつでも開始できますが、スギ舌下錠シダキュア®は、スギ花粉の飛散がない時期(6月~12月)に開始します。

症状が安定していれば1か月に1度の通院が必要です。

・副作用について

アレルギーを引き起こすアレルゲンを内服してもらうため、眼や喉のかゆみ、咳、鼻水などのアレルギー症状が出やすくなります。症状に合わせて抗アレルギー剤を予防内服してもらいますが、次第に副作用は感じにくくなります。薬を開始してから1か月ほど経過すると、副作用はかなり楽になります。

初回投与時は、重篤なアレルギー反応を起こさないか、30分院内で待機していただく必要があります。

・服用方法について

舌の下にお薬を置き、1分間保持した後、飲み込みます。舌の下に置くとすぐ唾液で溶けてなくなりますが、唾液はすぐに飲み込まず、1分間舌の下に保持してもらいます。5分間は飲水を避けてもらいます。

内服後、運動や入浴、飲酒などをして血流が多くなると重篤なアレルギー反応を起こすことがあります。内服後2時間は運動・入浴・飲酒を避けるようお願いします。

まとめ

今回はアレルギー性鼻炎の治療についてお話しました。生活習慣の見直し、アレルギー症状を抑える治療と、アレルギーを根本から改善する減感作療法があります。症状でお困りの方、減感作療法にご興味のある方はお気軽にご相談ください。