COPD、肺気腫②〜診断、治療について

当ブログでは医療情報の発信を行なっています。正確に病気についての知識を持ってもらうことで、より一層しっかり治療に取り組んでいただくことが、健康への近道であると考えています。 今回はタバコを吸っている/吸っていた方がなる病気:COPD、肺気腫の診断と治療についてお話しいたします。

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COPDの診断

  • 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
  • 画像検査:レントゲン検査、CT検査

○呼吸機能検査

「呼吸」には、息を「吸う」ことと「吐く」ことがあります。気管支が狭くなることで、「息を吐く」機能が落ちてしまいます。これを検査するのが呼吸機能検査(スパイロメトリー)です。具体的には1秒間に吐ける息の量(1秒量)が少なくなります。

喘息の方も同じような結果(1秒量が少なくなる)になりますが、吸入薬を使ってもよくならない症状や喫煙の状況、普段の症状から、複合的にCOPDと判断します。

中には喘息とCOPDを合併している方(ACO:Asthma COPD Overlap)もいらっしゃいます。

○レントゲン検査

健常な方と比べて、肺が大きくなります。これはうまく息が吐けず、肺に少しずつ空気がたまった状態を表しています。空気が多く残るため、肺は大きく膨らんで見えます。また、全体的に黒っぽく映ります。

左の正常な肺に比べてCOPDでは肺が大きく、黒く見えます。真ん中の心臓も肺に圧迫されて小さくなっています。

○CT検査

レントゲンよりも細かく肺を評価することができます。レントゲンではある程度重症になってからでないと変化が見られませんが、CTなら軽微な変化(肺の破壊)も見つけることができます

また、COPDの方に合併しやすい肺癌の検索も併せて行えます。肺癌の検索においてはCTが最も優れた検査方法となります。

左(健康な肺)が全体的に白く見える(肺がパンパンに詰まっている)のに対し、右(COPD患者)では真っ黒い大きい穴があちこちに空いています。

COPDの治療

  • 吸入
  • 在宅酸素療法

COPDの治療・管理目標は、以下に挙げられます。

①現在の症状およびQOL(日常生活の質)の改善運動・身体活動性の向上・維持
②将来のリスクの低減 増悪の予防全身へ依存症と肺合併症の予防・診断・治療

COPD患者さんは、息切れや咳・痰のため、日常生活のQOL(quality of life:日常生活の質)や身体活動性が低下しがちです。残念ながら壊れてしまった肺は元には戻りませんが、気管支拡張剤の吸入によって息切れを改善し、生活をしやすくする効果があります。

吸入:使用する薬剤はCOPDの重症度によって異なりますが、いずれも気管支を拡張することで息切れ等の症状を改善させます。

在宅酸素療法

COPDが重症化すると、体内の酸素の値が低下します。特に歩いた時、シャワーを浴びている時などに特に下がりやすいです。この体内の酸素の値(SpO2)が90%を下回る時間が長くなってしまうと、心臓に負荷がかかり、「肺高血圧」という病気を合併してしまいます。この「肺高血圧」になると大変な息苦しさがでてしまうのですが、COPDに合併した肺高血圧に対して、現代の医学では何ら治療法がありません。本当に手の打ちようがないのです。

この「肺高血圧」にならないためにも、体内の酸素の値(SpO2の値)が低い方はしっかり在宅酸素療法を行い、90%以上を維持することが大変重要です。

COPDの増悪(ぞうあく)について

息切れや痰などの症状が悪化することを言います。喘息の発作のようなものです。

ウイルス感染(風邪)や肺炎、喫煙などがきっかけになることが多いです。

軽症であれば外来で治療可能ですが、酸素吸入が必要になったり、重症の場合は入院が必要なこともあれば、命に関わることもあります。

COPDは増悪(発作)のたびに肺の機能が悪化することが知られています。禁煙していても、増悪を起こすと肺の破壊が進行してしまうのです。このような事態を避けるためには、増悪をくり返さないよう、感染の予防(マスクやワクチン)、そして禁煙が重要になります。

以下のような増悪の症状がある場合は、COPD増悪のサインです。重症化しないように早めの受診をお勧めします。

  • 痰の量が増えた、汚い色になった
  • 38度以上の熱がある
  • 息切れ、動悸が悪くなった
  • 足が浮腫むようになった

など、気になる症状があれば、重症になってしまう前に早めにご相談ください。

まとめ

タバコを吸っている/吸っていた方はCOPDや肺気腫という病気になることが多いです。

診断されずにいる方も多いですし、治療をされていない方も多いです。

特に体内の酸素の値(SpO2)が低い方は要注意です。「肺高血圧」を発症してしまうと大変な息苦しさが出てしましますが、そうなってからでは手の打ちようがないです。

運動した時(歩いた時、階段を登る時、シャワーを浴びる時など)に息切れを感じている方は一度ご相談ください。