COPD、肺気腫①〜病気について
当ブログでは医療情報の発信を行なっています。正確に病気についての知識を持ってもらうことで、より一層しっかり治療に取り組んでいただくことが、健康への近道であると考えています。 今回はタバコを吸っている/吸っていた方がなる病気:COPD、肺気腫についてお話しいたします。
COPD、肺気腫とは?
COPDとはタバコを吸うことで発症する病気です。Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字をとって COPDといいます。日本語では慢性閉塞性肺疾患といいます。
横文字になるとなかなか病気の説明もしづらく、肺気腫、と説明していることも多いです。
簡単に言うと、タバコの煙で肺が少しずつ壊れて無くなってしまい、気管支(肺の中の空気の通り道)が狭くなり、徐々に息が苦しくなる病気です。イメージとしては、健康な肺がパンパンに詰まったこんにゃくだとすると、COPDの肺は使い古しのスポンジのような感じでスカスカな見た目をしています。
残念ながら壊れてしまった肺は元には戻りません。息切れのため生活がしにくくなった場合は、吸入で少しでも自覚症状(息苦しさ)を緩和しつつ、酸素ボンベで酸素を吸入しながらの日常生活が必要になります。そのため、残った健康肺を少しでも守るため、禁煙が非常に大事になってきます。
COPDについてもっと詳しく
タバコの煙を主とする有害物質を長期に吸入することで肺が壊れ、さらに気管支(肺の中の空気の通り道)が狭くなることで息が苦しくなる病気です。タバコを長年吸っていた方は、仮に途中で禁煙しても残念ながらその時点まで蓄積したダメージはそのまま肺に残り続けます。喫煙がなかったことにはなりません。しかし、禁煙しさえすれば、そこで肺の破壊は止まりますので、一刻も早い禁煙が非常に大事です。
タバコを吸っても全くCOPDにならない方もおられます。ただ、日本人はタバコによる肺のダメージを受けやすい民族とされており、日本では500万人を超える方がこの病気にかかっていると言われています。しかし実際に治療をされている方は数十万人です。ありふれた疾患ですがあまり認識されていません。
実は、COPDは在宅酸素療法(ご家庭に酸素ボンベを設置して普段から酸素を吸入する治療)の原因、第一位の疾患です。気付かないままに喫煙をし続け、息切れがキツくなってきたな、と気が付いたときには重症→在宅酸素が必要、ということがしばしばあります。
肺だけが悪くなるのではなく・・・
最近ではCOPDは肺が悪くなるだけでなく、全身に影響を与える疾患とされています。
特に多いのはサルコペニア(筋力低下)です。COPDの方は息切れのため外出をしぶりがちになり、筋力が衰えやすくなります。また、咳は一回につき2kcal消費しますので、一日100回咳をすると200kcal消費し、瘦せやすいことも原因と言われています。
元・笑点の桂歌○さんなどは典型的なCOPD体型です。舞台に上がられる時以外は在宅酸素療法を受けていたと仰られていました。
筋力が弱ると呼吸をする筋力も弱ってしまい、さらに息苦しくなって動きにくくなる、という悪循環に入ってしまいます。日々の散歩や筋力トレーニングなどが大切です。
その他、骨粗鬆症になったり、糖尿病が悪くなることもあります。
COPDの合併症
COPDの患者さんはほぼ長年の喫煙歴がありますので、喫煙に関連する病気として癌の合併が多くなります。特に肺癌の合併は多く、できる限りレントゲンやCTで早期発見をしたいところです。
また、COPDによって肺に負担がかかることで心臓にも負担がかかり心不全になったり、不整脈が出やすくなったり、と心臓系の合併症も多くなります。
COPDの症状
- 初期は無症状、もしくは軽い咳や痰がある程度です。
- 徐々に動いた時の息切れが目立ってきます。階段の登り降りで周りの人より息が切れ、スピードが遅くなる人もいます。
- 重度になると、じっとしていても息が切れ、ゼーゼーした息をするようになります。口をすぼめて呼吸する人もいます。
まとめ
タバコを吸っている/吸っていた方はCOPDや肺気腫という病気になることが多いです。
診断されずにいる方も多いですので、今タバコを吸っている方や、過去にタバコを吸っていて息切れを感じている方は是非一度当院にご相談ください。
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