症状から探す:息切れ、息苦しさ
当ブログでは、患者さんのお困りの症状から、どのような病気が考えられるかについての情報発信を行っております。 今回は息切れについてお話しいたします。
息切れ、息苦しさの原因
誰でもマラソンをすると息が切れると思います。これは筋肉を働かせるために多くの酸素が必要になり、呼吸数・心拍数を上げることで多く酸素を取り込むことによって起こります。
前よりも動くと息が切れるようになった、じっとしていても息が苦しい感じがする症状(呼吸困難感)があるのは、酸素の必要量と取り込む供給のバランスの崩れが原因となります。
この需要と供給のバランスの崩れには大きく以下のような分類ができます。
- 呼吸器の病気:酸素の取り込みが悪い
- 心臓の病気:取り込んだ酸素を全身に行き渡らせる(循環させる)機能が悪い
- 貧血:酸素を全身に運搬する赤血球が足りない
- 酸素の必要量が増えた
- 神経の病気
- その他
それぞれ詳しく説明していきます。
呼吸器の病気(肺やのど):酸素の取り込みが悪い
・数日で悪くなった場合:肺炎や気管支喘息発作、COPD増悪(発作のようなものです)、気胸など
・数か月前からの場合:肺気腫やCOPD、間質性肺炎、肺癌などが考えられます
聴診やレントゲン、CT、呼吸機能検査で大体の原因が分かります。
心臓の病気:取り込んだ酸素を循環させる機能が悪い
・数日で悪くなった場合:急性心不全、心筋梗塞、心筋炎、不整脈など
・数か月で悪くなった場合:慢性心不全、心臓弁膜症、不整脈、心筋症など
聴診やレントゲン、CT、血液検査(BNP)、心電図、エコー検査などで原因が分かります。
貧血:酸素を運搬する赤血球が少ない
血液検査で診断できます。
酸素の必要量が増えた
・肥満:10㎏増えれば10㎏の重りを持って動くのと同じです。また内臓脂肪の増加により横隔膜が上に押し上げられると、肺が広がりにくく深く呼吸ができないようになります(Pickwick症候群)。
・筋肉量の低下:コロナ禍で散歩やジム通いをやめた方は筋肉量が落ちています。少ない筋肉で体を動かすと疲れやすくなります。
神経筋疾患
息切れの多くの原因は今まで挙げた四つに当てはまりますが、稀に息切れから神経筋疾患といわれる難病が判明することがあります。呼吸をするのに必要な呼吸筋を動かす神経や筋肉に何らかの不具合があると、息切れを感じます。上に挙げた病気が全て当てはまらず、肺活量が少ない場合に考えられる疾患です。
ALSや重症筋無力症、ギランバレー症候群などがあげられます。肺活量が極端に低く、筋力の低下が著しい場合(ペットボトルの蓋が開けられない等)に疑う病気です。
その他
甲状腺疾患や内分泌疾患で呼吸数が上がることもあります。
採血で診断可能です。
まとめ
息切れがあると外出がおっくうになったり、疲れやすくなったりしますね。息切れの症状を起こす疾患は沢山ありますが、それぞれの方の症状にあわせてレントゲンやCT、血液検査などの検査を適切に組み合わせることで原因を調べ、疾患にあった治療をすることで日々の生活が楽になります。
息切れの症状でお困りの方は一度当院へご相談ください。