症状から探す:いびき、日中の眠気②〜睡眠時無呼吸症候群〜
当ブログでは、患者さんのお困りの症状から、どのような病気が考えられるかについての情報発信を行っております。 今回はいびき、日中の眠気の続きで、睡眠時無呼吸症候群という病気についてお話しいたします。
睡眠時無呼吸症候群について
いびきが重症化すると、睡眠中に呼吸が止まってしまう方がおられます。それが睡眠時無呼吸症候群です。
寝ていて「フゴっ」となって目が覚める方は呼吸が止まっていたサインかもしれません。日中に強い眠気に襲われる方も、睡眠時無呼吸症候群によって熟睡できていないことが原因という場合があります。
睡眠時無呼吸症候群は実は非常に怖い病気です。
- 糖尿病
- 高血圧
- 脂質異常症(コレステロール)
あたりは放置しているとおおごとになる(心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気に直接つながる)ということは皆さんなんとなくご存知かもしれません。
実は、睡眠時無呼吸症候群はそれらの病気と同程度のリスク疾患であると言われています。つまり、睡眠時無呼吸症候群を放置しているのは、糖尿病や高血圧、脂質異常症を放置しているのと同じくらい体に悪い(心筋梗塞や脳卒中に直接つながる)ということなのです。
ですので、心当たりのある方はしっかり検査をし、その結果によってはきちんと治療をした方が良いと思われます。
睡眠時無呼吸の検査
睡眠時無呼吸症候群の検査としては、ポリソムノグラフィー検査というものがあります。
- ご自宅でできる「簡易ポリソムノグラフィー」
- 病院に1泊入院して行う「精密ポリソムノグラフィー」
があります。いずれもAHIと言われる数値で、睡眠している間の無呼吸の程度を確認します。
多くの場合、まずは簡易ポリソムノグラフィー検査を行います。
簡易検査でAHIが40以上の場合はその時点でCPAPといわれる治療が勧められます。
簡易検査でAHIが20〜40の場合は、精密ポリソムノグラフィー検査を行います。
精密検査でAHIが20以上ですと、やはりCPAPの治療を行う必要があります。20未満ですと、寝る姿勢の工夫やダイエット等で様子をみることになります。
睡眠時無呼吸の治療
簡易検査でAHIが40以上、もしくは精密検査でAHIが20以上の場合はCPAPという治療を開始することになります。
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)とは、簡単にいうと鼻に簡易の人工呼吸を取り付けて、呼吸が止まらないようにする治療のことです。治療開始直後は、機械の違和感で寝にくいという方もおられますが、全員すぐに慣れていきます。
機械によって鼻の中が乾燥するという方には機械に加湿器を取り付けることも可能です。
CPAPによる治療効果
CPAPのすごい点は、これをつけて寝るだけで、「睡眠時無呼吸症候群という病気がなかったことになる」という点です。
例えば高血圧や糖尿病は、生活習慣の改善や投薬によって数値(血圧やHbA1c)が劇的に改善したとしても、それらの病気が「なかったこと」にはなりません。あくまで「いい状態を保っている」ということにしかなりません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAPは「病気がなかったこと」になるのです。つまりCPAPをつけているだけで、上に記載した心筋梗塞や脳卒中などの怖い病気になるリスクも(少なくとも睡眠時無呼吸症候群によるものは)無くなるということです。
これはかなり画期的かつ劇的な治療効果と言っていいと思います。
もちろん日中の眠気がある方や熟睡感がない方も、CPAPにより改善することが多いです。
まとめ、検査と治療のススメ
いびきや日中の眠気がひどい方の一部は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、あまり知られていませんが、放置してしまうと心筋梗塞や脳卒中に直接つながりかねない危険な疾患です。
簡易検査はご自宅で簡単にできますので、いびきや日中の眠気のある方は一度当院にご相談ください。